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確認申請の指摘事項の中に
「隣の塀はだいじょうぶですか?安全ですか?」
っていうのがよくあります。
ひとんちの塀なんて知ったこっちゃ~ないんですが、実はこれがそうもいかなくて・・・ |
阪神でも福岡西方沖でもそうでしたが、地震の被害要因のひとつに「塀の倒壊」が数多くありました。たかが塀という軽い気持ちが油断を招き、下敷きになって命を落とした方も数多くいます。大きな地震の後、こうした危険な塀の調査が大規模に行われたことも以前ここに紹介しました。
<がんばれ日本⑧>こうした流れをくんで、現在の確認申請時には、敷地の状況をより正確に詳しく記載することが要求されるようになり、上記のように隣の塀の状況報告までもが必要となっている現状です。
もし、宅地として購入した土地の隣に壊れそうな塀が建っていた場合、それを無視して建てられるのか?実は、建築基準法の中に「敷地の衛生および安全」について記されている条文があります。
■建築基準法第19条4項
建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない |
実はこの「がけ崩れ等」の範中に「崩れそうな塀」も含まれているようで、いまから建てようとする建物に対して被害を及ぼしそうな場合はなんらか対応しないといけないというようなことが書かれています。もちろん塀の所有権は隣にあるので、勝手に壊したり、勝手に補強したりはできません。そういった場合は自分の敷地側でなんらかの策を講じなければならず、塀が倒れてきても受け止めるような壁をつくったり倒れないような支柱を設置したりという、なんとも納得しづらい状況にもなりかねません。こういった状況にならないためにも、土地を購入する場合は周囲の状況も十分考慮して「壊れそうな塀はないか?」「塀の所有権はどちらなのか?」など慎重に決める必要があるでしょう。余計な出費で予算オーバー、最悪夢のマイホームが建てられなくなった~なんて状況にもならないとも限りません。
ちなみに、「この塀は危険である」とはいったい誰が判断するのでしょうか?これは基準法などに合致していないもの(合法でないもの)を指すのではなく、あくまでも専門的な見地から危険であるかどうかを専門家が判断するということのようです。ということは、実は私たち建築家の判断によって左右されるということなので、実は多少はあいまいなグレー部分が残されているのか?という部分は否めません・・・