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■非日常の出来事 日常生活・・・・・・たとえば、お茶を飲んだり、本を読んだり、散歩やサイクリングを楽しんだり。普段、健康であれば気づかないであろうごくあたりまえの日常。そんな普段どおりに過ぎていくはずであった日々が、あの忌まわしい出来事から一変、こんなに早く車イスのお世話になる日が来ようとは、夢にも思いませんでした。 いつものように愛車ミニベロ号での通勤途中、予測不可能な<非日常の出来事>が起こってしまいました。20インチの小さな自転車が4WDの大きな四輪車と出合い頭のがちんこ相撲をとっても歯が立たないのは明らかで、その結果、私の左足と(右腕でもある)ミニベロ号は見るも無残にポンコツとなってしまったのです・・・。比較的、生前のスタイルを留めているミニベロ号に比べると、見るからにありえなさげな,、私の足のポンコツっぷりは・・・ 「左ケイ骨高原骨折」 と命名され、即刻メスが入れられる判断が下されました。その具体的な状況は、足のスネ部分を形成する骨の一番上、ひざの直下に「高原」と呼ばれるところがあり、その部分の骨折でした。その聞きなれない「高原」という名の由来は、そこがひろっぱのように平らな形ということでそう呼ばれるのだそうです。そこの骨が衝撃により大きく陥没、そしてガケくずれのように崩落をおこし、ぼっこりと穴が開いてしまいました。 . ■それはもう見事な匠の技で・・・ ともかく、想定外の短期荷重によって被災した私の足は、骨が内部崩壊を起こし断面欠損のため極端に骨強度が落ちてしまいました。そこで、その崩落部分に人工の骨材を充填し、早急に元の形へと復旧しなければなりませんでした。 しかし、そのままでは私の体は現行基準不適格物件となるため、将来的な災害に備え、さらなる 耐・震・補・強 が施されなければなりませんでした。 そこでたちあがった私の主治医、ドクターYは、熟練した棟梁かのごとく見事な手さばきで、大工道具とおぼしき金槌やドライバーを駆使し、私の骨にチタン製のL型緊結金物を9本のボルトでみごとに固定してくれました。もっとも私は全身麻酔により、手術室にはいったとたん「グースカピー」であったので、その様子はまったく覚えていないのですが、あとから聞くところによると、それはもう見事な匠の技だったそうです。こうして私の体は、ハイブリッドな新造人間としてなんとか生まれ変わることができたのでした。 こうした最悪の被災状況からなんとか復興を始めた私は、完全復活するまでの間、非日常的な生活を強いられることとなりました。曲げられずに伸ばしたままの左足は、「シーネ」と呼ばれる、数分で足型通りに固まるハイテク添え木で固定されました。動かせるのは上半身と片足のみで、ほとんどがベッド上での生活となり、動くこともままならないため、みるみるうちに体全身がしぼんでいき、(それまでが膨らみすぎではあったのですが)筋肉もだんだんと萎えていきました。   しかしながら、ここリハビリセンター「虎の穴」では、そんな怠けた生活が許されるはずもなく、手術の次の日からさっそく復帰に向けての辛く厳しい特訓がはじまりました。四角いリングの上では青い足枷を持ったセラピーTがメガネの奥でキラリ目を光らせ待ち構えています。これも、普段では経験することのない非日常の日々です。そんな厳しくも有意義な毎日が続く中、なかなか体の自由がきかない私にも、力強い味方が現われます。 不自由さを解消すべく、ミニベロ号に変わる新たなる相棒、 「マツナガ君」 を手に入れることになったのです。もちろんレンタル車イスですが ・・。 ■究極のエコカー「マツナガ君」 スチール製の頑丈なボディ、研ぎ澄まされ洗練されたスマートなフォルム、体全体をやさしく包んでくれる柔らかな高級合成皮革のシート、軽量かつ高強度の樹脂製パーツ、デザイン性の高い安定感のあるホイール、そして何よりこの車の最大の特徴は、動力にガソリンも電気も必要とせず おいしい病院食 さえあれば動く究極のエコカーであることです。 さらにこの車は特別仕様になっており、ひざを曲げられない私でも伸ばしたまま乗ることができる<ひざのばシート>装備※、さらに背もたれをそのまま倒せば、仰向けで髪洗いができるリクライニング機能付となっています。しかし、このようなフル装備車であってしても、ヒザを伸ばしたままの状態というのは、普通の車イス生活よりも想定外の苦労を強いられることになるのです。 ※ひざのばシート…ひざ裏から太ももにかけて下から支える車イス専用の補助具。小林製薬とは関係ありません、念のため。