中庭のある家T
鉄骨造3階建てのこの住宅は、昔ながらの住宅が立ち並ぶ住宅地に建っています。西側を前面道路として、奥に細長い敷地のため、光の取り込み方に工夫が必要でした。
2階、3階の居住部分を「コ」の字型に配置し、中庭をつくることで、光と風の通り道が生まれました。玄関にはいると、正面がこの中庭になっているので明るく開放感のあるスペースでお客さんを迎えることができます。隣地との境には、お互いの視線を遮り、風を通す目的で角度をつけた木製ルーバーを取り付けています。
また、この住宅のもうひとつの特徴は、楽器を演奏するためのスタジオの存在です。大きな音を発することが予想されたため、遮音や吸音対策を施した窓のないスタジオをあえて道路側に配置しました。道路側に拡散させることで、周囲への配慮としています。
この住宅の中心は「階段のあるリビング」です。お風呂に入るにしても寝室に行くにしても、どの部屋に行くにも必ずリビングを通ることになります。リビングに階段があるため、子供たちも必ずここを通って部屋に行き来します。さらに、このリビングを見渡せる位置に対面型のオープンキッチンが配置されているので、お母さんはすべてが把握できて安心です。
3階の子供部屋は、屋根勾配を利用しロフト空間を設けています。子供たちの遊び場になったり、寝る場所になったり、収納スペースになったりと、時期によっていろいろな使われ方がされるでしょう。このロフトにははしごが付いていますが、さらに消防隊用の「出動ポール」も取り付けているので、ここで寝坊してもすぐに登校できるようになっています。
階段の手すりはスチールと木を組み合わせ、少ない部材でシンプルに仕上げました。中間にまきつけた落下防止の白いネットは、リビングにやわらかいイメージをもたらしています。