RCの寺院
JR戸畑駅の南口から「中本町商店街」方向に5分ほど歩いた所にある寺社「真宗寺」は、地元の多くの檀家さんに支えられた、古くからの由緒あるお寺です。
もともとの本堂は木造建築で、100年を超える歴史ある建物でしたが、本堂の老朽化や駅前の利便性による納骨壇増設の要望に伴い、本堂と納骨堂を併設した新しい本堂に生まれ変わりました。
駅前の密集した地域性や防火地域指定のため、木造での本堂再建はあきらめ、その代わり納骨堂を併設した鉄筋コンクリート3階建ての建物となりました。工事の面では御本尊や納骨壇の移動から本堂の解体、そして狭い前面道路からの杭工事や打設、さらには複雑な接合部分のとりあい等、なかなかの困難を極め、約1年にわたって慎重に進められました。
外観は従前の本堂の面影を残すため、寺社建築独特な軒裏や仕口などの納めをコンクリートの造形で表現し、また大きな瓦屋根を残しつつ全体ボリュームを抑えるため小屋裏空間を利用するなどデザイン面でもさまざまな工夫が施されました。また、木に変わる材料としてコンクリートの素地を全面に使いできるだけ自然材料の素材感を残すデザインを目指しました。
古くからお寺は地域コミュニティーの中心として地元の人々に利用されてきましたが、ここ最近では若い世代のお寺離れも耳にするようになりました。しかし、これからも延々と受け継がれていく施設であることは間違いありません。これからもっと人の集まりやすく、また利用しやすい場所になるために新しい工夫が必要になってくるのかもしれませんね。