木造準耐火の家M
かつて人口密度日本一をほこったここ戸畑の街ですが、その中心を担った「中本町商店街」のそばに位置するこの場所は、商業地域でかつ防火地域というちょっと制限のある敷地です。
建物が密集する地域では、防火上の観点から耐火の建物が要求されますが、木造であっても防火地域に建てられないわけではありません。
この地域に木造で建てるためには、準耐火建築物とする必要があります。そのため、床面積をどうにか100㎡に納めなければならず、できるだけ無駄の少ないプランが求められました。また、現場では使用するボードの厚みも通常よりも厚く重いため、苦労する大工さんの様子も垣間見えました。
「白い家・丸い窓」という奥様の夢をどうデザインするかがひとつのテーマとなったこのお家。玄関とバルコニーを隠すための自立する白い壁に丸い穴をあけてみると下から青い空がのぞけ、意外にもとても印象的なデザインになったと思います。
南に面した庭は、リビングがもうひとつできるくらいの広い空間。小学校に上がったばかりの王子がここで遊びまわるのが目に浮かびます。できるだけ隣からのぞかれないようにするため、かぎ型のプランで自分の建物が目隠し代わりとなっています。
目隠しとフェンスのルーバーは耐侯性のあるレッドシダーを使っています。時間が経つにつれ味のある深い色合いに変わる木材と白い塗り壁がこれからどんな風合いを出してくるか楽しみです。