『住まいづくりのフロー』では、設計事務所に依頼した場合の「住宅の出来るまで」をわかりやすくご紹介します。
家を建てるなんてそんなに経験できることではないですよね。まずはその流れや順序を、ざっくりと頭に入れて想像みてください。
まずは、いろいろなきっかけの中から出会いが生まれます。例えば友人、知人の紹介、仕事上でのお付き合い、またホームページや紹介サイトなど。「自分の家が欲しいな。」「店を開きたいんだけど?」と考える方は、いろいろと周りに相談をされていると思います。まずはその相談相手の一人として気軽に声をかけてみてください。建物、土地、資金計画など建築家のアイデアを活用する気持ちでとりあえず相談してみませんか。
次にあなたのイメージ<夢>を語ってください。中庭のある家、天井の高いリビング、屋上でひなたぼっこなど、具体的でなくても構いません。既成概念にとらわれず、イメージをふくらませてぶつけてみてください。人にはそれぞれに住まい方、暮らし方があります。あなたの住みたい場所や敷地の広さ、家族構成や将来計画などをふまえ、さまざまなアイデアを提案していきます。土地から探されている方にも情報の提示から仲介までおこなっています。また、予算や資金繰りの相談もお受けしますので、お気軽にご相談ください。 この段階では、何回かの打ち合わせによりヒアリングを行います。現地の周辺環境調査をもとに、スケッチなどによる構想やプランの提示によりお互いの意見交換を行います。そしてその基本構想をもとに次のステップへと進んでいきます。
次にここでは、前段階で描いた基本構想をより具体的な形にしてくステップ<基本設計>となります。設計の業務(報酬対象)としては大まかに、基本設計・実施設計・現場監理と3つのステップに分けられます。基本設計は全体業務の3割程度なのですが、建物の基本事項を確定させるので最も重要な部分とも言えるでしょう。
ここでは、図面や模型、材料サンプルなどを用いて納得いくまでとことん打ち合わせを繰り返します。例えばこの窓を大きくしてもっと光を取り入れたいだとか、テーブルの配置を考えるとここに照明があれば・・、といった、より具体的な生活シーンをイメージしていき、それを計画に反映させていきます。しかし、この段階では基本構想に立ち戻ることもしばしばあります。「そう考えるなら、こっちに中庭があった方がいいね」といった感じで。
このように打ち合わせを何度も重ねていき、基本設計の最終段階では建物の位置から、各階の構成、部屋の広さ、窓や扉の位置、仕上げ材料、照明や水栓の種類まで、建物の基本となるものがすべて確定します。
ここまでくれば建物のおおよその工事金額が想定できるので、当初の予算から超えてしまいそうな場合には材料を変更したり、ランクを落としたりとトータルの調整が必要になります。
基本構想、基本設計のプロセスを経て固まった内容をより細かなところまで検討を重ね、それらを実施図面として表現していきます。実施図面は大別すると建物の形や仕様、材料などを表現する意匠図と、建物の骨格となる柱や梁などの強度や大きさなどを記した構造図、照明や給湯、空調などの位置や仕様を記した設備図に分類されます。単純なものから複雑なものまで規模によっても様々ですが、おおよそ1~3ヶ月くらいで仕上げていきます。
これらの詳細な図面をもとに、今度は施工業者がいったいいくらで工事ができるのか、いわゆる工事費の見積依頼をします。2~3社から見積をとって比較する場合もありますし、住宅などの場合は信頼のおける工務店にしぼって交渉するのもいいかもしれません。しかし、あまりコストにこだわりすぎても、思うような建物はできないかもしれません。 また、これと平行して建築確認申請の提出を行います。確認申請とは計画建物が建築基準法に違反していないかどうかを審査機関を通じて確認する手続きになります。また、これと同時に公庫等の融資や住宅性能保証などを受ける場合はその基準に合致しているかどうかの審査を兼ねる場合もあります。この審査に無事合格すれば確認済証が交付され工事着手が可能になります。
施工業者が決まり確認済証がおりれば、いよいよ工事開始です。まず、土地の神様を鎮めるための地鎮祭をとりおこない、工事の安全を祈願します。そしてお施主さん、設計者、施工業者さんの顔合わせの場、「なおらい」を行います。これからみんなでいい建物を作ろうという団結式のようなものです。これらの儀式を終え、いよいよ実際の工事に着手します。
まずは、建物配置を決定し、続いて地業工事、基礎工事、躯体工事、屋根工事、外壁工事と続いていきます。工事期間中は随時検査を行い、図面に忠実に施工されているか、性能品質に問題がないかチェックをします。また役所の検査が行われる場合もあります。
工事中であっても、いろいろと決定しなければならないことがあります。定期的に打ち合わせを行い、現場の進捗をご報告するとともにサンプル等を提示して確認、決定していきます。可能なかぎりの変更や追加事項にも対応していきます
躯体(骨組み)が立ち上がってくると、その大きさを実感できるようになります。部屋の広さも体感できるでしょう。この頃からインテリアの準備に取り掛かかってください。実際に部屋に置くソファやテーブル、ペンダントやブラケット照明、カーテンやブラインドなど、いろいろなショップをまわってお気に入りを探してください。各部屋のイメージにあわせてコーディネートされたものをこちらでもトータルに提案致します。続いて内装工事も徐々に進んでいき、床、壁、天井とインテリアもあらわになるにつれ、一段と生活のイメージが現実のものとして現れてくるでしょう。最後に建物周りの外構工事が完成すれば、無事建物の完成となります。
工事が完了すれば、速やかに完了検査を受けましょう。建物が図面どおりつくられているかどうかを役所、もしくは検査機関の検査を受けて、検査済証が交付されればその建物の使用ができる状態、つまり家具や家電製品などを中に入れることができます。そして最後に鍵の受け渡しと設備機器などの取扱説明を行い、所有権の移転の手続きを終えると、晴れてその建物の所有者となることができます。この日に合わせて引越しや家具などの配送日を決めておきましょう。
また建物を新築した場合、その所有者は建物の表示登記をしなければなりませんし、また、権利関係の保存、移転等の登記が必要になるでしょう。そのような場合はご相談ください。司法書士の先生や土地家屋調査士の先生をご紹介致します。 そしていよいよ、新居での新しい生活が始まります。新しい生活が少し落ち着けば、知り合いやご近所さんを呼んでご自慢の新居をみせびらかしてあげましょう。さらにオープンハウスのスタイルで一般の方を呼べば、そこからまた次につながる新たな出会いが生まれるかもしれません。